補聴器を使うかどうか迷われる場合もあります。私が補聴器を販売する立場だという面を差し引いても補聴器を購入されたほうが良いと感じることが多いです。20年くらい前の補聴器ですと、確かに性能はいまとは雲泥の差でした。見た目も悪いので使うことを躊躇なさるのもわからないわけではありませんが、その当時のことを知っている者からすると今は格段の進歩で補聴器をつけておられるかじっと耳を見てようやく気づくこともあるほどです。耳をみるのも職業病といえますが、一般の方ですとさらに気づかないでしょう。外見だけでなく性能も違います。私が新入社員として補聴器販売店に勤めていた時は、マイナスドライバーで補聴器についているツマミを回して「聞こえやすいですか?」とやっていました。いまは専用のソフトが入ったパソコンで調整します。アナログ補聴器からデジタル補聴器へ移行していったのです。格段の進歩がみられたため、当時を知っている私からするとお客様からは「雑音が気になる」という言葉が急激に減っていったように感じます。なによりも、お客様の意識が変わりました。補聴器なんてつけたくないという方もまだまだ多いですが、家族に言われると「じゃあ使ってみようかな」といった方がほとんどなのです。90代になってから、初めて補聴器を手にするという方もいらっしゃいますが、数か月後には日常生活の道具として使いこなしておられます。新しいことに挑戦しようという方はいつも前向きで、世間でいうと40代のおっさんの私が「山本さんも、頑張ってね」と反対に励まされることがあります。それにしても精神的な年齢は実年齢と関係ないものですね。補聴器を通していろいろな方とお話できるのがとても楽しいです。